森進一の熱狂的ファンが起こした「婚約不履行騒動」の顛末
すでにAは森との経緯を週刊誌にタレコミ告白していた。森側は「事実無根」と無視していたのが、法廷に持ち込まれるまでに発展したことで、森側の不利との見方もされた。ベテラン記者が取材に当たり、駆け出しの私は彼女の素性を調べるなど少し手伝い、興味津々に先輩たちの話を聞いていた。
Aは森の母親とも面識があり、「ウソで告訴することはないだろう」とA寄りの記事になっていた。週刊誌の本音としても「森が告訴された」というセンセーショナルな記事になる。週刊誌戦争という時代背景もあった。
山口地裁の判決は「彼女の妄想」と判断。森の全面勝訴となった。結局、狂信的なファンだったAは森の母親に接近。親しくなったことで、母親が許した婚約者と勝手に思い込んでいたと言われた。
■タレコミは判断が難しい
メディアにはいい反省の機会になり、タレコミにはより慎重に取り組むようになった。どんなに具体的な話でも、裏取りを徹底。特に熱狂的なファンの一方的な話は要注意だった。タレこむ人は「ここがダメなら別の社」とネタを回すこともあれば、「いくらで買う?」と謝礼を要求する人も現れ出した。