“新基準値”で大混乱…人間ドック、健康診断の賢い使い方
■総合リスクに考慮するべし
「高齢者の場合、日本では75歳以上の後期高齢者が『150/90』に緩和され、欧州や米国では60歳前後で同じ基準値が該当します。ただ、欧州では血圧以外のリスク因子が詳細に評価されます。悪玉のLDLコレステロール値や空腹時血糖値など、かつてのメタボ健診の厳しい基準を超えた項目がすべてリスク因子として換算され、高リスクの患者には早い段階で生活習慣改善による血圧、血糖、脂質のコントロールを促します。日本の人間ドック学会が発表した新基準のようにすべての数値を緩めてしまうと、高リスク患者が見逃されてしまう危険があるのです」(東丸氏)
ひとつの検査項目の数値だけでアウトだセーフだと判断するのではなく、総合リスクを考慮する必要があるのだ。
「その時の数値が基準範囲に収まっていたとしても、年々、数値が上限に向かって右肩上がりに推移していたら、食生活を改めたり、日常的に運動をしたり、生活習慣を改善すべきです。人間ドックや健康診断で計測した数値は〈点〉ではなく〈線〉で判断するべきものなのです」(江田クリニック院長の江田証氏)
せっかく検査を受けているのだから、有効活用したいものだ。