“新基準値”で大混乱…人間ドック、健康診断の賢い使い方
それなのに、単純に血圧の新基準値だけをみて、〈自分は問題ない〉と勘違いしている高血圧の患者が続出している。
来院の際に新基準値が掲載された新聞や雑誌の切り抜きを持参して、〈もう薬は必要ない〉と降圧剤を飲むのをやめてしまったり、それっきり通院しなくなるケースが後を絶たないという。
東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授はこう言う。
「それまで降圧剤を飲んで血圧コントロールをしていた患者さんが急に薬をやめてしまうと、リバウンドで血圧が一気に跳ね上がる危険があります。また、血圧はちょっとしたことで変動するため、平均130台に抑えられていた人が薬をやめてしまった場合、瞬間的に180くらいまで上がる可能性もあります」
新基準値をうのみにして、自分は健康だと勝手に判断するのは危ないのだ。
世界的に血圧の基準値は「140/90」だという。この数値は数多くの研究や検証を重ねて算出されたもので、日本高血圧学会の基準も同じだ。これを超えると脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベントのリスクが上がるため、血圧コントロールが必要になる。