専門医改革の行方
いまや専門医は約90種類。認定条件は、学会によってバラバラ。しかも総じて緩めときては、専門医そのものに疑問の声が上がるのも、無理からぬところ。そこで厚生労働省が中心となって、専門医制度改革が進められています。
改革の目玉のひとつは、専門医の認定などを行う、第三者機関が発足したこと。名称は、一般社団法人・日本専門医機構です。いままで学会単位で行われていた専門医の認定を、この組織が一手に担うことになります。
計画では、今年中に各専門医の研修プログラムを評価し、来年度から新プログラムをスタートすることになっています。新制度のもとで、最初の専門医が輩出されるのは、2020年度になるはずです。
また、2025年までには、診療科目と専門医とを結びつける案も出ています。いまの制度では、医師は、自分の裁量で診療科目を決めることができます。そのため、4つも5つも科目を掲げる開業医が、後を絶ちません。しかし将来的には、内科専門医を取得したものだけが、内科を開設できるといった方向に変えていこうというのです。それが実現すれば、病院や診療所の看板に書かれている科目が、より信頼できるものになるはずです。
とはいえ、日本専門医機構の実態は、学会の寄り合い所帯。どこまで踏み込んだ改革ができるのか、注意深く見守る必要がありそうです。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)