病床再編で病院のサバイバルが始まった
政府案では2025年までに入院用の病床を高度急性期、一般急性期、亜急性期、長期療養の4つのカテゴリーに再編することになっています。あくまでも病床の種類の話で、同じ病院の中にこれらの病床が混在していても構いません。ただ実際には病院そのものが、この4つのカテゴリーに再編されていくと予想されています。
病院ランキングに載るような大病院、有名病院、専門病院の大半は高度急性期病院になれそうです。そうなれば単価の安い軽症患者を受け入れずに済み、単価の高い重症患者のみを、さらに多く集められるようになります。リハビリ専門の病院は亜急性期病院に転換して存続できますし、療養病院・老人病院は現状維持。あるいは介護施設に鞍替えすることも容易です。
困るのが中途半端な一般病院。これといった特色のない中小病院や、地方の中規模の総合病院などです。高度急性期病院は無理。しかし人員も装備も一人前に揃えてしまっているため亜急性期病院に変身するのも難しい。まして、いまさら長期療養病院にはなれない。一般急性期病院として生き残る以外にないのですが、政府案によれば、その病床数が地域ごとに制限され、しかも削減されてしまうのです。対象となりそうな病院は戦々恐々。生き残りを懸けた椅子取りゲームならぬ病床取りゲームが、まさに始まっているのです。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)