【お腹のヘルニア】国立病院機構村山医療センター・外科(東京都武蔵村山市)
「腹部ヘルニアの大半を占めるのは、太ももの付け根の鼠径部に起こるヘルニアです。ヘルニアは手術でないと治りません。放置して飛び出した腸が戻らなくなる『嵌頓』を起こすと、腸を切ってつなぐ緊急手術が必要になります。痛みを伴うヘルニアは早めに手術で治した方がいいのです」
■手術は1時間前後、入院は3泊4日
手術には、お腹の表面を切開して筋肉の弱くなった部分を修復する前方アプローチと、お腹の内側からメッシュで補強する後方アプローチがある。同科が積極的に行っているのは腹腔鏡を用いた後方アプローチだ。
「腹腔鏡の後方アプローチでも、お腹の中から手術操作する『TAPP法』と、腹膜の外から手術操作する『TEP法』があり、私たちが積極的に行っているのは後者です。術後の癒着が少なく、腸閉塞などの合併症が起こりにくいからです」
TEP法はTAPP法に比べて狭い術野での手術操作になるので、その分、高い技量が求められる。TEP法は、九州で導入されて普及し始めた術式で、関東で行う施設はまだ少ないという。しかも、同科のTEP法は、一度、腹膜の中から内視鏡で腹腔内をのぞいて、他にも治療が必要な部分がないかを確認してから行う。