糖尿病の新たな合併症「糖尿病性認知症」の症状と治療法
糖尿病性認知症は、最も多いアルツハイマー型と比較して、症状が違う。アルツハイマー型は記憶障害が初期から強く出る。買った物を忘れて同じ物を繰り返し買う、帰り道が分からなくなる、家族を認識できない、トイレの場所が分からない――といった、生活上で問題が生じる行動につながりやすい。
糖尿病性認知症は、記憶障害より段取りを立てて実行する能力の障害や注意力の低下が典型的。料理ができない、歯磨きや洗顔ができない、洋服の脱ぎ着ができない、そしてボーッとする。
「アルツハイマー型は記憶力をつかさどる脳の海馬が障害されるのに対し、糖尿病性認知症は脳全体が障害される。糖尿病性認知症は、症状の進行が非常にゆっくりであることも特徴です。ただし、症状だけでの鑑別は難しい」
■軽症認知症と誤診も
羽生医師が診ている糖尿病性認知症の患者のほとんどは、別の医療機関から紹介された人たち。患者が認知症を疑って医療機関を受診し、それらで認知症と判明したものの、どのタイプか分からず、羽生医師の外来へ、という流れだ。