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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

心臓疾患にかかりやすい血液型があるのは本当か

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 赤十字血液センターには、かつて献血の経験があるRh(-)のような特殊な血液型の人が登録されていて、定期的に献血をお願いしたり、緊急時に協力してもらえるような態勢が整えられています。輸血用の血液製剤は採取から3週間で有効期限が切れてしまいます。ですから、登録されているAB型Rh(-)の人は、献血に協力してもらえるように何度もお願いされているかもしれません。

 AB型Rh(-)の患者さんの手術では、血液製剤だけでなく、可能な場合は術前に本人から採血して貯蓄した血液を使う「自己血輸血」も行います。手術を受ける前に通院してもらい、造血剤を服用しながら2週間で400㏄ずつ血液を貯蓄していきます。採取した血液は冷凍保存して、手術の際に解凍して使います。順天堂医院では、通常の手術なら800㏄、大きな手術であれば1600㏄の自己血を用意して臨みます。

 もっとも、心臓手術はいちばん血液をムダにしていない手術といえます。血液を循環させるポンプである心臓や血管にメスを入れるわけですから、輸血がないと成り立たないと考えられがちですが、実はそうではありません。なるべく出血量を少なくするような工夫をしたり、手術中に出た血液を安全に回収してためておき、再び体に戻す「術中回収式自己血輸血」という方法も行われています。

 常にいちばん近いところで血液と向き合っているからこそ、血液を大切に扱っているのです。

【連載】天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

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