著者のコラム一覧
若林秀隆医師

リハ栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害を特に専門とする。日本リハビリテーション医学会指導医・専門医。

「低栄養だからエネルギーを多く入れればいい」は間違い

公開日: 更新日:

 アメリカ栄養士会とアメリカ静脈経腸栄養学会は、低栄養の原因を3つに分類しています。「社会生活環境に関連した低栄養」「急性の炎症に関連した低栄養」「慢性の炎症に関連した低栄養」です。

 患者さんの低栄養がどの分類になるかを知ることは、今後の栄養管理を決定する上で非常に役立ちます。まず“社会生活環境”では、炎症はないが何らかの理由で食べられない状態です。患者さんのエネルギー・タンパク質の摂取量を高めることが治療になります。

“急性の炎症”は、たとえば大動脈解離の手術後や、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こした時のような状態です。低栄養だからといって点滴などでエネルギーを過度に入れると、かえって筋肉の状態が悪くなります。「急性炎症でエネルギーが使われる→筋肉量が落ちる→低栄養を招く」ことは、急性炎症ではやむを得ません。

 この際、点滴などでエネルギーを過度に入れると、体重は脂肪で増えますが、筋肉の質と筋力が低下するおそれがあります。急性炎症の場合、まず炎症を抑えなくてはなりません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…