「低栄養だからエネルギーを多く入れればいい」は間違い
アメリカ栄養士会とアメリカ静脈経腸栄養学会は、低栄養の原因を3つに分類しています。「社会生活環境に関連した低栄養」「急性の炎症に関連した低栄養」「慢性の炎症に関連した低栄養」です。
患者さんの低栄養がどの分類になるかを知ることは、今後の栄養管理を決定する上で非常に役立ちます。まず“社会生活環境”では、炎症はないが何らかの理由で食べられない状態です。患者さんのエネルギー・タンパク質の摂取量を高めることが治療になります。
“急性の炎症”は、たとえば大動脈解離の手術後や、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こした時のような状態です。低栄養だからといって点滴などでエネルギーを過度に入れると、かえって筋肉の状態が悪くなります。「急性炎症でエネルギーが使われる→筋肉量が落ちる→低栄養を招く」ことは、急性炎症ではやむを得ません。
この際、点滴などでエネルギーを過度に入れると、体重は脂肪で増えますが、筋肉の質と筋力が低下するおそれがあります。急性炎症の場合、まず炎症を抑えなくてはなりません。