【がんとテロメア】短くなった場所ががん化する
がん細胞はテロメアが短いのに、なぜ増殖を続けられるのか。体内の細胞でも「幹細胞」や「生殖細胞」は限りなく分裂を繰り返すことができる。これは「テロメラーゼ」という酵素の働きで、テロメアの長さを維持しているからだ。しかし、普通の正常細胞はテロメラーゼ活性を持っていない。
■膵液の逆流も影響
もともと正常細胞だったがん細胞は、どのようにテロメラーゼ活性を獲得するのか。
「細胞はテロメアが短くなると、不安定になり異常な染色体ができないように分裂を止めます。P53などのがん抑制遺伝子に変異が起きることで細胞分裂が再開し、テロメアはさらに短くなり変異が起きやすくなる。がん細胞はその不安定になった細胞に、何らかの遺伝子変異が起きることでテロメラーゼが活性化し、がん化したと考えられます。その遺伝子が何なのか特定はされていません」
逆に言えば、テロメラーゼ活性を抑制する物質が、有効ながん治療薬になる可能性もあるが、他の組織幹細胞や生殖細胞に影響しないかが課題になる。