【双子研究】一卵性双生児でも環境で20%の個人差が出る
安藤寿康教授 慶應義塾大学・文学部(東京・三田)
人に「遺伝」と「環境」が、どう影響しているかみることができる「行動遺伝学」。
主要な調べ方として古くから用いられるのが「双生児法」だ。同じ家庭環境で育った一卵性双生児(遺伝的類似性100%)と二卵性双生児(同50%)を比較することで遺伝の影響を調べることができる。
双子研究を始めて約20年、これまで1万組(2万人)の双子を調査してきた安藤寿康教授(顔写真)は、双生児法の特徴をこう言う。
「双子のデータさえあれば、どんなことでも類似性を比較することで遺伝の影響があるか、ないか、あったとしたらどれくらい強いか、年齢によってどう違ってくるか、また、例えば、ある病気と別の病気の2つの形質の間に共通の遺伝要因があるか、それとも共通の環境からきているのか、ということも統計的に分析することができます」
人はすべてのことにおいて「遺伝」と「環境」の両方の影響を受けている。病気の発症も同じだ。
例えば、糖尿病の家族歴がある場合、一般的に次のような確率で糖尿病を発症するといわれる。