肺がんⅢ期も治療可能に 「放射線・抗がん剤治療」最前線
「しかし今、Ⅲ期は放射線と抗がん剤で“治癒”を目指せます。Ⅲ期の多くは遠隔転移で再発するので、それを抑えるのが重要になります」
抗がん剤は、1980年代に登場した「第2世代(シスプラチン、ビンデシンなど)」、90年代以降の「第3世代(パクリタキセル、ビノレルビンなど)」がある。2つを比較すると、単剤投与では第3世代の方が効果が高い。
ところが、放射線との併用では、「どっちが良い、悪いというのが出ない。多くの研究結果が、どの抗がん剤でもほぼ同じ結果です。患者に合わせて抗がん剤を選択し、放射線と組み合わせて治療している」。
2000年以降、開発されたのが分子標的薬(ゲフィチニブ、クリゾチニブなど)だ。
患者の遺伝子変異に応じた薬を選んで投与するため、より的確にがんを攻撃でき、肺がんの治療成績を大きく向上させた。
「放射線と併用すればもっと効果が高いのでは? そう考え研究が始まりましたが、ゲフィチニブをはじめ多くの分子標的薬は、薬剤性の肺障害を起こし肺にダメージを与える。危険すぎて使えないとなった」