肺がんⅢ期も治療可能に 「放射線・抗がん剤治療」最前線

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免疫チェックポイント阻害剤も注目

 そこで今、期待が高まっているのが免疫チェックポイント阻害剤だ。免疫細胞の攻撃を阻止するPD―L1、PD―L2という“免疫チェックポイント”を阻害する薬で、前述の通り、Ⅳ期では適用。がん増悪を抑制し、生存期間も延びた。

 研究の結果、Ⅲ期でも免疫チェックポイント阻害剤を投与した群は、従来の抗がん剤治療群に比べて死亡リスクを有意に低下させた。

「また、放射線照射でPD―L1の発現レベルが高くなり、放射線と免疫チェックポイント阻害剤を一緒に行うと生存期間が延びることが分かりました。さらにアブスコパル効果といって、放射線療法で抗腫瘍免疫反応が誘導され、免疫系が活性化し、がんを攻撃しやすくなった。Ⅳ期よりがんの量が少ないⅢ期では、免疫療法の効果がより期待できる。この20年、Ⅲ期に対していい治療が見いだせませんでしたが、ようやく有効な治療が患者さんに届けられるようになるかもしれません」

 まだ臨床応用にはなっていないが、そう遠い先のことではないだろう。

 肺がんは組織型で「小細胞がん」「非小細胞がん」に分かれる。非小細胞肺がんは、肺がんの85%を占める。

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