増加傾向の「大動脈弁狭窄症」は高齢女性に圧倒的に多い
一方、通常の三尖弁で狭窄症が非常に早く進むのは、人工透析を受けている患者さんと、家族性の高脂血症がある患者さんです。そうした人を除くと、高齢女性が圧倒的に多いのが特徴です。
だいたい70代から3枚の弁が硬くなり始め、いまの日本人の平均寿命に当たる80~85歳くらいになると、よほどコレステロール値が低いような場合を除いて、ほとんどの人に弁の石灰沈着が起こっているといえます。
しかし、実際に手術にまで至るケースは少ないうえ、手術したほうがいい段階まで悪化している患者さんに対しても、その10~15%程度しか実施されていません。そのため、大動脈弁狭窄症で突然死してしまう人も少なくないのが現状です。高齢になると、心臓に多少の違和感があっても検査に行かない人が多く、きちんと診断されていないのがその一因でしょう。現在、日本心臓財団が心臓弁膜症の検診を啓蒙する公共広告機構のCMを流しているのも、そうした状況を問題視していて、突然死を防ぎたいと考えているのです。
■予防よりも最適なタイミングで処置することが大切