医学博士に聞いた 高齢者が“熱い風呂”を好むのはなぜだ?
若い人でも熱い湯でシャキッとしたり、脳内物質が出たりするだろうが、高齢者はそれが感じにくい。だから、どんどん熱く――というスパイラルに陥るのかもしれない。
熱い湯は個人の嗜好の問題とはいえ、高齢者は注意が必要だ。
「高齢者は熱さに対する感覚が鈍るだけでなく、体温の調整機能も落ちています。つまり、体の中に熱がこもってしまい、冬場でも浴室熱中症などになりやすいのです」
急激な血圧上昇による脳卒中や心筋梗塞などヒートショックのリスクも高まる。どうすれば高齢者の入浴事故を防げるのか。
「温度を少しずつ上げれば急激な血圧上昇は防げます。また、炭酸ガス系の入浴剤は、泡が皮膚を刺激するので2度くらい温かく感じる。それらに加えて、本人の感覚に任せず、家族が給湯器の表示などで適温をチェックしてあげることも大切でしょう」
熱い湯に入って「極楽、極楽~」もいいが、そのままあの世行きではシャレにならない。