肺がん治療最前線 新たな新薬発売で選択肢は5つに増えた
最新の肺がん診療ガイドラインでは、Ⅳ期の非小細胞がんでEGFR遺伝子変異陽性に対する一次治療として、5つの選択肢が記されている。
「推奨の強さが一番なのはオシメルチニブ(18年承認)で、ダコミチニブはその次です。オシメルチニブの方がダコミチニブより毒性が弱く、無増悪生存期間が長いためです」(中川教授)
ただ、選択肢5つのうち、どれを選んでもいい。最初にオシメルチニブを選ぶか、またはダコミチニブを選ぶか、または他の選択肢を取るか。
「患者さんがどういう治療を望んでいるか。たとえば副作用が少なく普通の生活を保ちたい患者さんには、オシメルチニブを提案する医師が多いかもしれません。しかし、オシメルチニブの場合、効かなくなったら次は抗がん剤になる。ダコミチニブなら効かなくなっても、特定の耐性遺伝子(T790M)が確認されればオシメルチニブが使える。次の選択肢が保たれている方がいい患者さんには、ダコミチニブを提案するかもしれません」
ダコミチニブは発売されたばかりとあって、圧倒的に投与の経験数が少ないという点もある。
しかし今回の新薬登場で重要なポイントは、選択肢が増えたということ。
Ⅳ期の肺がん患者にとって、これは非常に大きいことなのだ。予後がさらに延びることも期待されている。