前立腺がん治療の一つが「何もしないで様子を見る」こと

公開日: 更新日:

(国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長)

 前立腺がんの場合、発病時の年齢、これから先どのくらい生きられるかの見通し(期待余命)、患者さんの治療に対する考え方などが、治療を選択する上で大切になります。なぜならば、治療によって生活の質(QOL)の低下に加え、生殖能力を失うことにもなるからです。

 そのようなことを背景にして、早期の前立腺がんには、手術や放射線療法などの治療を何も行わず、放っておく(=経過観察する)「監視療法(待機療法)」という治療概念があります。

 何もしなくて本当に大丈夫なのか? といった不安もあるでしょう。国立がん研究センターが発表した主要な16のがんの「10年生存率」によると、前立腺がんは94・5%で最もよい。進行も緩やかなため、早期なら、すぐに治療を行わなくてもいいケースがあるのです。ただし、「がんが転移せずに前立腺の中にとどまっていてリスク分類で低リスクと判断された場合」に限ります。また、まったく何もしないわけではなく、3~6カ月ごとに腫瘍マーカーである血中PSA値を測定。変化の様子を見守ります。PSA値が上がったり、病状に明らかな悪化が見られたら、改めて積極的治療を検討します。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸300億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」