今日は抗がん剤を打てるだろうか…がん患者の複雑な気持ち
造園業を営む一人暮らしのAさん(55歳・男性)は、進行した膵臓がんで手術はできず、抗がん剤治療を受けています。
Aさんの、ある一日です。朝6時に起きて、朝食は取らずに猫のタマちゃんに餌をあげ、7時には家を出ます。最寄り駅まで15分くらい歩いて、「今日は抗がん剤を打てるか、打てないか」と不安に思いながら病院に向かいます。
新型コロナウイルスの影響で、行き交う人はみんなマスクをして、黙々と駅に向かっていました。Aさんは、「自分はがんを持っていて、新型コロナのハイリスク……うつったら大変」と思って注意しています。
電車は混んでいて、Aさんはいつも立っていますが、つり革を持たないようにしています。先週は、マスクはしていても咳をする人が近くにいたので、ぎゅうぎゅう詰めの中、無理やりその場から離れました。
8時30分、病院に着いて採血のための順番待ちに並び、終わってから受診室の前で待ちます。
採血検査では白血球数が問題です。3000以上ないと抗がん剤は延期になります。廊下を含めて待合室は混雑します。「人と人の間隔をあけて座る」と言われても無理な話です。しかも、1時間半も待つのです。