コロナ禍で食糧危機はやってくるのか 国際機関が懸念表明
「世界の穀物在庫は十分にあるし、去年から今年にかけては世界的に豊作が続いています。穀物の絶対量は十分に足りているのですが、新型コロナ対策で生じた人手不足や、国境閉鎖、港湾の検疫強化などにより、産地から消費地への輸送が滞り始めているようです」(永田宏教授)
穀物の輸出制限を始めた国もある。カザフスタンは小麦の輸出を禁止した。日本ではあまり知られていないが、同国は世界的な小麦の輸出国である。ほかにロシア(小麦)、インド(米・小麦)、カンボジア(米)、ベトナム(米)なども、輸出禁止や制限を始めている。
ただし、日本への直接的な影響は小さい。それらの国々から米・小麦をほとんど輸入していないし、国内の備蓄も十分ある。だが野菜や果物の不足は、じわじわと効いてくるかもしれない。アメリカの農場は、出稼ぎのメキシコ人を使って農産物の収穫を行っている。またフランスやドイツなど西ヨーロッパ諸国の農業は、主に北アフリカや東欧からの出稼ぎに頼っている。しかし、人の移動に強い制限がかかった結果、各国とも人手不足が深刻化している。