改めて知りたい…なぜ日本で医療崩壊が危惧されているのか
しかも、重症患者の救命に威力を発揮するとされる体外式膜型人工肺(ECMO)装置の全国の取り扱い台数は1400台程度に過ぎず、適切に管理できるスタッフの数も不足しているという。
医師の数も多くない。人口1000人あたりの医師の数は日本では2.40人と、OECD加盟国36カ国中32位と少ない。それをコンピューター断層撮影装置(CT)などの医療資源でカバーしているに過ぎないという。
実際、日本のCTの台数は人口100万人あたり107.2台。先進7カ国平均の25.2台と比べてダントツに多い。
「こうした医療体制の脆弱さ、とくに集中治療体制のもろさが新型コロナウイルス感染症の死亡率を高めることはイタリアとドイツの比較で明らかです。3月31日時点での死亡率はイタリアでは11.7%(感染者10万5792人、死者1万2428人)に対して、ドイツでは1.1%(同7万1808人、同775人)でした。ICUのベッド数で言うと、ドイツは人口10万人あたり29~30床であるのに対して、イタリアでは8.6床(2011年時は12.5床だったが財政緊縮で減少)にとどまっています。一方、日本は5床に過ぎません。そのため、重症患者が急増するとオーバーシュートは非常に早く訪れることが予想されるのです」