新型コロナの未来 イヌウイルスから見た世界同時弱毒化の可能性
新型コロナウイルスは現在、地域ごとに変異が蓄積している。さまざまな研究者が新しい型を提唱しているが、地域ごとに遺伝型が変わることは当然のことである。問題は「抗原型が変わるのか」、そして「毒性が変わるのか」である。
新型コロナウイルスがCPV―2と同じような経過をたどるのであれば、それほど恐れることはない。世界各地で同時多発的に弱毒化し、毒性の高い新型コロナウイルスは駆逐されていくのであろう。
実際に、その兆候は表れているようだ。欧米においても新型コロナウイルスは依然として拡大傾向ではあるが、重症化率、致死率は明らかに低下している。
コロナウイルスはさまざまな動物に感染している。ネコも例外ではない。ネコのコロナウイルス(FCoV)は多くのネコに感染しているが、普通は重篤な疾病を起こさない。ところが、一部のネコでは伝染性腹膜炎(FIP)という重篤な疾病を引き起こす。FIPを引き起こすFCoVは特別に「ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」と呼ばれる。FIPVは、FCoVとイヌのコロナウイルス(CCoV)との組み換えで生じると考えられている。