著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

動脈硬化だけではない 中性脂肪が高いと肺炎になりやすい?

公開日: 更新日:

 血液のコレステロールや中性脂肪の数値に異常があると、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞脳梗塞などの危険性も増すことは皆さんご存じの通りです。

 コレステロールには悪玉と言われるLDLコレステロールと、善玉と言われるHDLコレステロールがあり、悪玉コレステロールは高いほど善玉コレステロールは低いほど、そうしたリスクが高いと考えられています。

 実は最近の研究により、体を病原体から守る免疫系にもコレステロールや中性脂肪のバランスが大きな影響を与えることが分かってきました。細菌やウイルスの感染が脂質に影響を与え、感染の重症化とコレステロールや中性脂肪との間にも関係のあることが報告されているのです。

 今年の米国の内科学の専門誌に、それについての興味深い研究結果が報告されました。動脈硬化のリスクを分析した大規模な疫学研究のデータを解析したところ、血液の善玉コレステロールが高いほど、その後、肺炎で入院するリスクは低下。中性脂肪が高いほどリスクは増加している、という結果が得られたのです。

 これは20年以上の長期の観察により明らかになったもので、脂質のバランスが良いと免疫の力も強くなり、肺炎にもなりにくいことが推測される結果です。

 中性脂肪の高い人は運動食事に気を付けることが、動脈硬化の病気ばかりでなく肺炎の予防にも役立つかも知れません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…