事故による脳損傷で「怒り」が制御不能に…注目される根治療法
40代の男性は、20代の交通事故後から怒りが制御できなくなり、一度キレると頭が真っ白になるほど我を失っていた。
当初は、感情すごろくでも「ワケが分からない」と混乱していたが、練習を重ねる中で「いつもなら激怒する場面で悲しい気持ちを感じられた」「深い感情に気づくことで、不安やエンドレスに繰り返していた自責的な苦悩も減った」と変化し、やがて怒りを感じることがなくなった。
「この方法は、従来のアンガーマネジメントのような生じた怒りを抑える対症療法ではなく、怒りそのものを生じなくさせる根治療法です。つまり、怒りは脳の損傷が直接原因ではなく、脳損傷を抱えて追い詰められたことにより生じた不健全だが正常な心理反応にもかかわらず、それを『脳の器質異常が原因だから治らない』と患者さんは信じこまされてきた可能性すらあるのです」
現在、宗医師らは並行して在籍する慶応義塾大学、および脳画像研究では国内最高峰とされる放射線医学総合研究所との共同研究を通じて、効果検証や病態解明を進めており、プログラムへの参加希望者を募集している。関心のある方は、東京歯科大学市川総合病院精神科の宗医師に連絡を(通院中の場合、主治医の許可と紹介状が必要)。