「爪が黄色い」患者さんを検査すると肺に胸水が見つかった
爪は大きな病気をすると、その2、3カ月後に変形することがあります。まれですが、爪そのものにも悪性黒色腫のようながんができる場合もあります。
また、抗がん剤治療を受けている患者では、多くは投与期間が長くなった場合ですが、皮膚とともに爪が黒くなることがあります。表皮基底層や毛嚢、爪の細胞は、細胞分裂が活発であるため、抗がん剤の影響を受けやすいのです。
抗がん剤による手足の皮膚や爪に生じる副作用は、総称で「手足症候群」といわれます。皮膚や爪に障害を起こす可能性のある抗がん剤には、フルオロウラシル(5―FU)、TS―1、カペシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、シタラビンなどがあります。また、分子標的薬でも、皮膚炎、爪囲炎の副作用が見られます。皮膚の症状が進行すると、水疱や潰瘍で歩行困難になる場合もあります。
抗がん剤や分子標的薬による治療を受けていて思い当たる方は、遠慮なく症状の早い時期に担当医に相談されるといいでしょう。
対策として、抗がん剤投与の加減、保湿剤などのスキンケア、時にはステロイドホルモン外用薬を用います。体調不良、あるいは病気にかかっている場合は、マニキュアなど爪の美容はあまり勧めません。診察の妨げになるためです。