口腔がんの手術に臨んだ外科医の「気構え」が忘れられない
先日、G病院の外科医師から歯肉がんを患ったAさん(75歳・男性)について相談がありました。G病院には耳鼻科・口腔外科はなく、こんな相談内容でした。
Aさんは右の頬が腫れていて、歯肉に痛みが出てきたため某大学病院の口腔外科を受診しました。診断は「歯肉がん」で、組織検査では「扁平上皮がん」でした。そして、担当医から「進行していて根治の手術はできないので緩和治療になります。口腔外科では、緩和のためには入院はできません」と言われたそうです。
Aさんは、痛み止めの薬を処方されて自宅で過ごしていましたが、痛みが続き、大学の口腔外科ではもう診てもらえないと考えてG病院の外科を受診したのだそうです。
某大学病院には入院患者に対応する「緩和チーム」はあるのですが、緩和病棟はないといいます。G病院の外科医師は、Aさんに痛み止めを処方したものの、「もし出血した時などは、口の中のことなので口腔外科のように対応できないのではないか」と心配して、私に相談してきたのでした。
私は「Aさんの治療は、根治手術はできなくても放射線治療と併せての化学療法などはできるのではないか」と答えました。そして結局、AさんはG病院に入院して、放射線・化学療法を行うことになりました。