新型コロナワクチンを接種して血栓ができてしまうのはなぜ
■血小板が減少するケースも
ワクチン接種によって血栓が生じるケースには、他に「血小板減少症」も考えられる。
ノルウェーでの事例では、50歳未満の医療関係者3人が血栓症や脳出血で入院し、うち1人が死亡。いずれも共通して血液を固める働きがある血小板の数が減少していたという。米国でも、ファイザーのワクチン接種後に「免疫性血小板減少症(ITP)」を発症する事例が複数報告され、56歳の産婦人科医が死亡している。
「同じように『TTP』(血栓性血小板減少性紫斑病)や『HIT』(ヘパリン起因性血小板減少症)でも血小板が減少し、血栓が生じます。止血因子VWF(フォン・ヴィレブランド因子)を切断して効力を減らす酵素(ADAMTS13)の活性が、薬剤、感染、ワクチン交差免疫などによって低下し、血小板が凝集しやすくなって血栓がつくられます。そのため血液中の血小板も減ってしまうのです。こうした血小板減少症は、これまで風疹、麻疹、インフルエンザ、BCGといったワクチンや、抗生剤、解熱鎮痛剤などの薬剤で起こったケースも報告されています。ただ非常にまれな頻度ですし、今回のコロナワクチンで起こりやすいわけでもないので、いたずらに不安がる必要はありません」
メカニズムとして、ワクチン接種によって血栓症や血小板減少症がまれに起こる可能性がある。万が一の時、適切な医療を受けられるよう、知識として蓄えておこう。