ワクチンが逆効果に…「フィリピンショック」はなぜ起きたか

公開日: 更新日:

 ウイルスに対する抗体には、「感染を止める抗体」(中和抗体)と「感染を止めない抗体」(非中和抗体)がある。後者は役に立たない抗体とも言えるわけだが、ウイルスの種類によっては、役に立たない抗体が命取りになることもある。抗体によって感染しやすくなる「抗体依存性感染増強(ADE)」である。デングウイルスやコロナウイルスで古くから知られている現象だ。

 これらのウイルスに対しては、抗体が誘導されればいいという単純な話ではない。ワクチン接種により「良い抗体」と「悪い抗体」がともに誘導されるが、その比率は個体(個人)によって異なる。良い抗体の作用が悪い抗体の作用を上回れば抗体は発症防御に働くが、その逆だと発症を誘発してしまう。

 フラビウイルスの仲間のデングウイルスは、東南アジアで流行する致死性のウイルスである。このウイルスには4種類の型があり、1つの型に感染した後に別の型に感染すると重症化してしまう。1つの型に対する良い抗体が、他の型に対しては悪い型として働いてしまうのだ。その現象のために、デングウイルスのワクチン開発は困難を極めた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース