新型コロナワクチンを接種して血栓ができてしまうのはなぜ
「新型コロナワクチンとの因果関係ははっきりしていませんが、ワクチン接種によって血栓がつくられる要因としてまず考えられるのが『ADE』です」
ADEとは「抗体依存性感染増強」と呼ばれ、ワクチンの投与によってつくられた中和が十分できない悪玉抗体がウイルスにくっつき、細胞に対するウイルス感染を促進し、免疫細胞が暴走して症状を悪化させる。
「中和が不十分な悪玉抗体にウイルスがくっつくと、ウイルスはその抗体のFc受容体を使い、体の組織の細胞や免疫細胞に取り込まれやすくなります。それで感染症が重症化し、マクロファージやTリンパなどの免疫細胞がウイルスを撃退するために炎症性サイトカインを大量に動員します。これが血小板凝集を高進させ内皮細胞を傷つけることにより、血栓ができやすくなるのです。こうした事例はデング熱ワクチンや、かつての麻疹ワクチンなどで報告されています。ただ、今回のコロナワクチンは純度が高く、中和が不十分な悪玉抗体はつくりにくいといわれています。ADEが生じた報告も見当たりません。また、ワクチン接種後の血栓症は脳静脈洞に多いことから、特定の人に対する特定の場所での反応だと考えることもできます。冠動脈血栓による心筋梗塞、肺血栓塞栓症、脳梗塞といった一般的な血栓症はほとんど見られないので、現状ではそこまで心配しなくていいでしょう」