著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

高血圧の薬で認知症を予防できるのか 専門誌でデータ発表

公開日: 更新日:

 高血圧認知症も高齢者に多い病気です。この2つの間には、どのような関係があるのでしょうか? 高血圧の状態が長く続くと、動脈硬化が進み、その血管へのダメージは認知症の原因となります。一方で高血圧の治療により血圧が下がり過ぎると、脳の血流が低下して認知症の症状がむしろ進行する可能性もあります。高血圧と認知症との関係は、そう簡単ではないのです。

 いま広く使用されている降圧剤に「ACE阻害剤」や「ARB」(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)と呼ばれるタイプの薬があります。これは塩分や水分を維持するための仕組みであるレニン・アンジオテンシン系という体の仕組みを抑える、という作用の薬です。

 最近、このタイプの血圧の薬が認知症の予防につながるのでは、という研究結果が報告されて注目されています。こうした薬には血圧を下げるだけでなく、血管の炎症を抑えるような働きがあるので、血管の老化を防ぎ、それが認知症予防につながる可能性があるのです。

 特に注目されているのは、脳の血管に直接作用する可能性がある薬です。今年の高血圧の専門誌に発表された論文に、「脳に薬が移行するようなタイプのACE阻害剤やARBを使用することで、脳に移行しない薬と比べ物忘れを予防するような効果があった」というデータが発表されています。高血圧の薬は認知症予防に有効な可能性がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された