コロナ禍の巣ごもりで同居人からの受動喫煙が増えている
たばことの因果関係が明らかになっているがんは肺がんだけではなく、頭頚部、食道、胃、さらには肝臓、膵臓、膀胱、子宮頚部のがんなど、たくさんあります。また、たばこが原因となる病気はがんだけではありません。脳卒中や心筋梗塞なども該当します。コロナ禍での受動喫煙で病気が増えたら、踏んだり蹴ったりとは、このことではないかと思うのです。
■コロナ禍を契機に
2010年、IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は「たばこのない五輪の推進」で合意し、その後、五輪開催都市だったロンドンとリオデジャネイロでは飲食店などの屋内全面禁煙が実現しました。そして、「その禁煙による飲食店の客離れはなかった」とする調査もあります。
日本では、東京五輪の開催予定に合わせて昨年4月から健康増進法が改正され、屋内原則禁煙、喫煙専用室の設置などが決められました。しかし、それでも多くの医師は「これでは禁煙にとても消極的で情けない」と反対していたのです。もちろん、まずは禁煙が大切ですが、受動喫煙の機会を減らすことも必要です。東京都がん対策推進計画(2次改定、18年3月改定)では、目標値を「受動喫煙の機会をなくす」としました。