コロナ禍で子供の視力が低下…将来の失明リスクを上昇させる

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 コロナ禍ではオンライン授業や学習コンテンツなどで、子供がデジタル機器を利用する機会が増えた。そもそもゲーム、YouTube、SNSなどでコロナ前からデジタル機器に接する時間が長かった。この状況に、二本松眼科(東京・平井)の平松類副院長は警鐘を鳴らす。

 私たちの目は、レンズの働きをする水晶体が膨らんだり細くなったりして、網膜の上で焦点を合わせている。ところが近い距離ばかりを見ていると、網膜の上で焦点が合いづらくなり、それが長く続くと焦点を合わせようという調整が行われ、眼球の長さ(眼軸)が延びてしまう。

 すると、通常はきれいな丸い形の眼球が、楕円形に変形。網膜や視神経に負担がかかり、網膜剥離、緑内障、黄斑症といった失明につながる病気のリスクが高くなる。

「子供の近視の増加は、かねて指摘されていましたが、コロナでそれが加速する可能性がある。それを指摘する論文も眼科の国際ジャーナルに掲載されており、世界中の眼科医の間で、子供の近視対策は早急に手を打たねばならない課題となっています」

 子供の近視対策としては、「近くを20分間継続して見たら、遠くを20秒間眺める」「屋外で週11時間以上(1日当たり約2時間)過ごす」がいいと言われている。前者は米眼科学会で推奨されており、後者は台湾で行われた研究によると視力0.8未満の小学生が5%減ったとのことだ。

 さらに、平松医師が最近出版した「眼科医だけが知っている 一生視力を失わない50の習慣」という本で紹介している「習慣」は、子供の近視予防にも有効だという。ぜひ親子で実践したい。特に行うべき方法は次の4つだ。

眼科医が教える今すぐやるべき対策

【ガボール・アイ】

「物理学者デニス・ガボールが作成したガボール・パッチという模様を見ることで、目に写っているものを処理する脳に働きかけ、より鮮明に画像を処理できるようになります。多くの臨床データが発表されています」

 ガボール・アイはネット上にも多数画像がアップされているので、それらを利用するといい。

【外で遊ぶ】

「目には無数の血管が通っており、体を動かして血流を良くすると、酸素や栄養の巡りが良くなり、近視予防に役立ちます。毎日2時間以上、外で遊んでいる子供は近視になりにくいというデータもあります」

【夜にスマホを見ない】

「夜に限らずスマホをはじめとするデジタル機器は見る時間が少ないほどいいのですが、特に夜は目へのダメージが大きい。スマホからのブルーライトが視力を低下させるのに加え、入眠ホルモンのメラトニン分泌を妨げ、睡眠の質を悪くし、夜に十分に目の疲れを解消できなくなります」

 ちなみに、時間を問わず、スマホを60分以上見続けることは厳禁。長編映画をスマホで見ている子供もいるだろうが、途中で「休憩」を入れる。

【“ビタミンエース”を取る】

 ビタミンエースとは、ビタミンA・C・E。

「いずれも抗酸化作用が強く、3つ一緒に取ると相互作用があることがわかっています。抗酸化作用は細胞の酸化を軽減します。目へのダメージも減らせるのです」

 ビタミンA・C・Eが特に多く含まれているのは、野菜や果物。朝食抜きの子供も増えているが、1日3食、野菜や果物をたっぷり入れた献立で、抗酸化作用を積極的に摂取する。

 近視で眼球が楕円形になってしまうと、元に戻らない。そうなる前に対策が必要だ。

「ただし、子供の近視には何らかの病気が隠れている可能性があります。まずは、眼科医の検査を受けてください」

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