舞台上で息が苦しくなって…俳優・松尾貴史さん「肺塞栓症」を振り返る

公開日: 更新日:

 翌日には長野へ移動し、あさってには本番というタイミングでした。医師にそれを告げると、「冗談じゃない。死にますよ」と言われ、まさかの緊急入院。「肺塞栓症」と診断され、集中治療室で酸素マスクと点滴につながれてしまいました。

 公演の中止に胸を痛めながらもどうすることもできず、ベッドの中ですっかり観念しました。

 でもその日の夜、朗報があったのです。「公演中の舞台『鷗外の怪談』で紀伊国屋演劇賞の個人賞をいただけることになったが、受けるか?」という事務所からの確認の電話でした。それを聞いて、落ち込んでいたグラフが一気にゼロ座標に戻りました。「襲う病あれば拾う神あり」と思い、非常にうれしかったです。

■面白い話が聞けるのでは思い大部屋を希望

 3日間の集中治療室の後は、大部屋の病室を希望しました。カーテンで仕切られているので顔も見えないし、なにか面白い話が聞けるかもしれないと思ったからです。

 案の定、私の隣のベッドにいたのは毎日フィットネスジムでバイクをこいでいるという65歳ぐらいのおじさんで、何キロも負荷をかけて鍛えていることを、部屋に来る看護師さん全員に自慢していました。毎日のように「ちょっとこの脚、触ってみて」「わぁ、すごいですね~」というおじさんと看護師さんの会話をカーテンの仕切り越しに聞かされました(笑い)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造