舞台上で息が苦しくなって…俳優・松尾貴史さん「肺塞栓症」を振り返る

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 翌日には長野へ移動し、あさってには本番というタイミングでした。医師にそれを告げると、「冗談じゃない。死にますよ」と言われ、まさかの緊急入院。「肺塞栓症」と診断され、集中治療室で酸素マスクと点滴につながれてしまいました。

 公演の中止に胸を痛めながらもどうすることもできず、ベッドの中ですっかり観念しました。

 でもその日の夜、朗報があったのです。「公演中の舞台『鷗外の怪談』で紀伊国屋演劇賞の個人賞をいただけることになったが、受けるか?」という事務所からの確認の電話でした。それを聞いて、落ち込んでいたグラフが一気にゼロ座標に戻りました。「襲う病あれば拾う神あり」と思い、非常にうれしかったです。

■面白い話が聞けるのでは思い大部屋を希望

 3日間の集中治療室の後は、大部屋の病室を希望しました。カーテンで仕切られているので顔も見えないし、なにか面白い話が聞けるかもしれないと思ったからです。

 案の定、私の隣のベッドにいたのは毎日フィットネスジムでバイクをこいでいるという65歳ぐらいのおじさんで、何キロも負荷をかけて鍛えていることを、部屋に来る看護師さん全員に自慢していました。毎日のように「ちょっとこの脚、触ってみて」「わぁ、すごいですね~」というおじさんと看護師さんの会話をカーテンの仕切り越しに聞かされました(笑い)。

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