著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんの最期 自宅で穏やかに迎えるためのプランを考えておきたい

公開日: 更新日:

 もう一つ見逃せないのは、「望んだ場所で過ごせた」も47.9%と半数を割ったこと。日本では8割が病院で亡くなる一方、17年度の厚労省の調査では8割が自宅での最期を望んでいます。最期の場所を巡るギャップは17年より少なくなっていますが、まだ大きい。

 これらの点を踏まえると、ある程度、がんが進んだ時点で亡くなるまでの療養プランをイメージしておき、患者側から医療者に提案するべきだと思います。相手は、医師ではなく、看護師でもよいでしょう。

 私は、がん患者、一般市民、がん診療に携わる医師・看護師を対象にアンケートしたことがあります。その結果、「最後まで病気と闘うこと」を望ましいとする割合は、がん患者・一般市民と医療者で食い違いました。闘病を必要とした医療者は2~3割でしたが、がん患者・一般市民は8割でした。

 この点については医療知識も大きく影響するので簡単ではありませんが、それでも末期がんの克服は難しい。それを踏まえると、苦しむことなく穏やかに家族に囲まれて最期を迎えるというライフプランは考えておいていいと思います。

 私なら、医療用麻薬が効かない場合、放射線治療や神経ブロックで痛みを取ることを希望。加えて蘇生措置と過剰な点滴は不要で、最期は自宅で迎えたい。これらを書き留めておき、家族にも伝え、医療者に提示したいと考えています。読者の皆さんは、いかがですか?

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動