転移がんが見つかってもどこからきたか分からない原発不明がん
■化学療法で著効する場合もある
Kさん(58歳・女性)は2カ月前から腹部膨満感が続き、某病院の婦人科で「腹水がある」と指摘されました。針での腹腔穿刺による細胞診検査では「腺がん」との診断でした。
CT検査では両側の卵巣に腫瘍は確認されず、また子宮など骨盤内臓器にも腫瘍は認めません。さらに、肝臓や胆嚢など消化器系の検査が内科で行われましたが、これも異常を認めませんでした。血液検査では、腹膜炎の時のマーカーがわずかに上昇していました。
結局、Kさんのがんは原発巣は分かりませんでしたが、卵巣がんに準じた化学療法を行ったところ、腹水はなくなりました。腫瘍マーカーも正常化し、3年経過しても再発はありません。
リンパ節、肝臓、骨、肺、腹膜など、転移した箇所の検査でがんと診断され、全身を調べても原発巣が同定できない場合を「原発不明がん」といいます。病理組織検査では、免疫組織化学染色などでも検討され、腺がん、未分化がん、扁平上皮がんなどと診断されます。その結果を基にして臨床的にさらに精査されます。