転移がんが見つかってもどこからきたか分からない原発不明がん
病理専門医によれば、腺がんという診断について「乳がんでも、他のがんからのリンパ節転移でも、矛盾しない。他の病院の病理診断医とも相談し、検討したが、腺がんは間違いない。しかし、どこから出たがんなのか(原発巣)は分からない」とのことでした。
Cさんと相談し、外来で抗がん剤治療を行うことになりました。月1回ペースで計4回の治療を行ったところでCT検査、さらに4回の治療後の検査でも、どこにも腫瘍は認めません。
結局、8回の抗がん剤治療後は、無治療で経過を見ることになりました。その後、再発もなく、Cさんは元気で過ごされています。
最近でも、Cさんは冗談のように話されます。
「先生、私の腋窩のリンパ節、あれは本当にがんだったのでしょうか? 結局、私のがんの病名はなんというのでしょうか?」
私は、「がん、腺がんは間違いありません。病名は原発不明がん……『原発不明腺がん』です」と答えました。
まれに、Cさんのようにリンパ腺にがんが見つかり、どこから転移してきたのか分からないことがあるのです。