なぜ「おひとりさま死」は在宅を選択肢に入れるべきなのか(2)
「しかし、これらは病院に行ったから解決する問題ではありません。病院でも疼痛コントロールがうまくできない医師は多いし、看護師や介護士が夜通し病棟に付きっきりなわけではない。重症度が高い患者がいつでも苦しいときにナースコールをできるわけではないのは、病院でも自宅でも同じです。在宅診療で介護職の役割が重要なのは、医師以上に患者さんと密な人間関係を築き上げていて、こまめに病状の変化を医師に連絡をいただける点にあります」
血圧の変化に応じて入浴サービスを中止するかどうか、麻薬の効果が薄れている様子なのでその増量をすべきかどうかなど、日々の中での細かい状態変化をある意味病院以上に医師と介護職が情報共有しながら細かい対応をする。
「おひとりさまの多くは、自宅に介護職が介入することをとても喜ばれます。その結果、介護職とおひとりさまとの人間関係だけでなく、病院の医師、看護師、介護職の横のつながりができて、良い看取りができるのです。実際、在宅の看取りでは最期の時間まで、ご自宅での生活の中で痛みや苦痛を取りながら、家族や友人のように関わります。そのため最期は医療職と介護職が思い出話をしながら、みんなで笑顔にもなり、涙も流しながらお見送りさせていただくことも多いのです」