ネイティブ・アメリカンの平均余命が劇的に短くなった理由
コロナのパンデミック以降、アメリカ人の平均余命は3年も縮まりました。過去100年間で初めてです。それだけでも驚きなのに、さらに衝撃だったのは、アメリカの先住民族ネイティブ・アメリカンに限っては、6年半も短縮したことです。
アメリカにヨーロッパ人が入植してから100年間に、殺されたネイティブ・アメリカンは実に5千600万人。残された多くは、「居住区」と呼ばれるエリアに強制移住させられました。居住区は現在、アメリカ本土とアラスカ、ハワイなどに合わせて約300カ所。全人口の2%に当たる500万人のネイティブアメリカンが、居住区を中心に生活しています。
彼らがどんな環境で生活しているかは、長い間まったく知られていませんでした。しかしネット時代になり、過酷な現実が少しずつ明らかになっています。
都市部から離れた孤立した地域で、水道もない場所もあり、多くが大気汚染や水質汚染などにさらされている。井戸水からヒ素やウラニウムが検出されたという報告もあるほどです。4人に1人が貧困という数字はアメリカのどの人種よりも多く、医療体制も貧困。病院まで何時間も運転していかなければならないのに、多くは車を持っていません。