大好きな炊きたての白いご飯を少しでもいいから食べたい
ですが自宅での療養中、ご本人は口からの食事にたびたびむせて誤嚥性肺炎を起こしたり、またご自宅が建物の構造的な関係で、室温調整が難しく、猛暑日が続いた夏の日などには、脱水状態になりがちとなり、週末には発熱することも多く訪問看護の緊急訪問も少なくなかったといいます。
それでも入院ではなく自宅での療養にこだわったのでした。在宅医療を開始した初日。患者さんの自宅にこだわる素朴な思いを知ることになるのです。
「よろしくお願いします」(私)
「お願いします」(患者)
「最後の輸血は水曜日?」(私)
「抗生剤の点滴もそうです」(患者)
「ひとまず今日採血して抗生剤は内服で開始しましょう。月曜日もう一度採血結果を持って伺いますので、抗生剤を点滴にするのか検討しましょう」(私)
時に食事も咀嚼がままならないこともあり、栄養補助食品などで補填しながら、輸血で命脈をつなぐ日々が続きました。それでもご本人の食べることへの意欲は衰えることはなく、在宅医療を開始した一番大きな理由も実は白いご飯を食べたいからというものでした。