著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

大好きな炊きたての白いご飯を少しでもいいから食べたい

公開日: 更新日:

 ですが自宅での療養中、ご本人は口からの食事にたびたびむせて誤嚥肺炎を起こしたり、またご自宅が建物の構造的な関係で、室温調整が難しく、猛暑日が続いた夏の日などには、脱水状態になりがちとなり、週末には発熱することも多く訪問看護の緊急訪問も少なくなかったといいます。

 それでも入院ではなく自宅での療養にこだわったのでした。在宅医療を開始した初日。患者さんの自宅にこだわる素朴な思いを知ることになるのです。

「よろしくお願いします」(私)

「お願いします」(患者)

「最後の輸血は水曜日?」(私)

「抗生剤の点滴もそうです」(患者)

「ひとまず今日採血して抗生剤は内服で開始しましょう。月曜日もう一度採血結果を持って伺いますので、抗生剤を点滴にするのか検討しましょう」(私)

 時に食事も咀嚼がままならないこともあり、栄養補助食品などで補填しながら、輸血で命脈をつなぐ日々が続きました。それでもご本人の食べることへの意欲は衰えることはなく、在宅医療を開始した一番大きな理由も実は白いご飯を食べたいからというものでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇