尿路結石を「便秘」と誤診された60代男性の悲劇…6時間半も苦悶
Aさんはデスクワーク中心で体を動かすことが少ないうえ、肥満を気にして昼間はコーヒーで空腹を満たし、夕食は加齢による筋肉量低下を恐れて肉食中心だったという。
「Aさんは知らず知らずのうちに尿路結石リスクの高い生活習慣を続けていた、ということでしょう。とくに気になるのがコーヒーです。胃の中が空っぽな状態でブラックコーヒーを飲むと、コーヒーに含まれるシュウ酸が消化管から吸収され血液中に入り、腎臓で排出され尿路に入り、そこで尿中のカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結石ができます。これを避けるにはコーヒーは食後に飲むことです。コーヒーに含まれるシュウ酸は、先に胃の中に入った食べ物に含まれるカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結晶となるため、消化管に吸収されません。そのまま便として排出されるので尿路結石リスクは軽減します。また、コーヒーをブラックでなくミルクを入れると、カップの中でシュウ酸カルシウムがつくられるため消化管から吸収されることがなくなり、尿路結石リスクが低くなるのです」
Aさんは帰京後、薬をもらうため自宅近くの泌尿器科クリニックを受診。そこで「尿路結石は5年以内に再発することが多い」と聞かされ、生活習慣の改善に取り組んでいるという。