天皇陛下の検査報道で注目 前立腺がん「PSA」と「MRI」の位置づけ
前立腺がんを診断するには、針生検が必要。超音波で画像を見ながら、前立腺に針を刺して検体を採取。それを病理学的に調べて、がんかどうか確定するのです。
そのためには、前立腺のどこが疑わしいか調べることが重要。最近注目されているのがMRIです。これにより、前立腺にがんがあるかどうかはもちろん、その位置や大きさのほか、悪性度もある程度予測できるようになりました。
その画像をもとに前立腺がんの可能性を予測する「パイラッズ─スコア」を判定します。1点・がんの可能性が極めて低い、2点・可能性が低い、3点・どちらともいえない、4点・可能性が高い、5点・極めて高い、です。
一般に3点以上で針生検を勧められることが多くありますが、1点や2点でもゼロリスクではなく、ほかの検査結果や年齢なども合わせて慎重な判断が大切でしょう。
針生検では、決まった部位十数カ所から組織を採取するのが一般的。MRI検査を加えるようになり、怪しい部分を取り損じることなく、異常な部位を標的として採取できるのが大きなメリットでしょう。そして、採取した組織分析から正確な悪性度を評価することになります。
前立腺がんと診断されると、治療は早期なら手術か放射線です。東大病院でも、2020年に初めて放射線の治療件数が手術を上回りました。照射は通院で5回のみ。服も着替えずに済み、治療室への入室から退室までわずか7分です。放射線なら、手術の後遺症である尿漏れやEDの心配もありません。