著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

「粒子線」の保険適用拡大 X線を上回る効果も見逃せない短所

公開日: 更新日:

 臓器や器官にできる固形がんを根治できる治療は、手術と放射線です。肺がん食道がん、頭頚部がん、前立腺がん、子宮頚がんでは、放射線の治療成績が手術と同等。切らずに治す放射線の中で、粒子線の保険適用が4月から拡大されています。

 適用拡大は、大型の肝臓がん、局所進行したすい臓がん、術後に局所再発した大腸がん、肝内胆管がん、局所進行した子宮頚部腺がんの5つ。以前は小児がん、頭頚部がん、前立腺がん、骨軟部腫瘍でしたから、対象は全部で9種類です。

 粒子線のメリットは、がんにより大きなエネルギーを与えられること。従来のX線のエネルギーは、体の表面から1~2センチ下で最も強くなって、そこから弱まっていきます。つまり、がんの手前にある正常組織により強いエネルギーが照射されるため、正常組織が耐えうる限界値を考えることが重要です。

 その点、粒子線はエネルギーのピークをがん病巣に合わせることで、線量を集中できます。粒子線は、がんへの照射量をよりピンポイントに高めつつ、正常組織へはより狭く、かつ線量を低くすることが可能。治療効果を高め、かつ副作用を少なくできるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  2. 2

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  3. 3

    だから桑田真澄さんは伝説的な存在だった。PL学園の野球部員は授業中に寝るはずなのに…

  4. 4

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  5. 5

    「ニュース7」畠山衣美アナに既婚者"略奪不倫"報道…NHKはなぜ不倫スキャンダルが多いのか

  1. 6

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 7

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 8

    ドジャース大谷 今季中の投手復帰は「幻」の気配…ブルペン調整が遅々として進まない本当の理由

  4. 9

    打撃絶不調・坂本勇人を「魚雷バット」が救う? 恩師の巨人元打撃コーチが重症度、治療法を指摘

  5. 10

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した