入院5回目のがん患者は孫の動画を見て「一緒に歌う」と心に決めた
目を丸くして、大きな声で、口をとんがらせて一生懸命歌っています。とても可愛くて思わずほほ笑みました。
夕方、夜勤の看護師が、血圧、体温、脈拍、酸素濃度を測っていきました。感じの良い方で、会話していると、よく勉強しているなと感心します。
食事が終わって食器を下げてもらい、夕方の薬が出てきた際、不眠の時に使う薬をお願いしました。
「どうせ、人間、いずれはみんな死ぬ。仕方ない。病気が良くなるように、みんなで努力してくれているんだから、悪くなるのを考えるのはよそう」
そうは思っても、ぽつんと、暗い天井を見つめていると、悪い結果の不安が頭をよぎります。
夜になると、わずかに電車の走る音だけが聞こえていました。カーテンを開けて窓の外を見ると、ビルの明かり、そして時折、電車が走っていくのが見えます。電車の中は明るく、混雑しているのが分かりました。みんな仕事を終えて家路につくのだ、と思いました。
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