年の暮れに届いた喪中はがきで頭に思い浮かぶ旧友との思い出
毎年、暮れが近づくと「喪中はがき」が届きます。親戚のだれだれが亡くなって……などと書いてあれば分かるのですが、それがないと「どなたが亡くなったのだろう」と気になってしまいます。「母が97歳で……」とか、「祖父が93歳で……」といった記載があればそれなりに納得しますが、若い方が亡くなると、かわいそうでシュンとしてしまいます。
「年頭のご挨拶は失礼させていただきます」
同級のS君が亡くなった。奥さんからはがきが届いたのです。
もう、40年近く会っていません。そういえば、S君とは毎年年賀状を交換していたのですが、昨年は来ませんでした。
気になって、電話をしてみました。奥さんが出ました。最初は私に気づかなかったようでしたが、すぐに分かってくれました。
膵臓がんでした。S君は病院に入院するのを嫌がって、6カ月の間、自宅で奥さんと娘さんが看病していたようです。最後は褥瘡(床ずれ)をつくらないように、体位を時間ごとに変えたと話されました。