長引く息苦しさや発熱の正体は「薬剤性間質性肺炎」かもしれない
「池袋大谷クリニック」の大谷義夫院長が言う。
「2002年、分子標的治療薬であるゲフィチニブによる薬剤性肺障害の報告以降、多数の分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬が新たに出てきたことで、薬剤性間質性肺炎の患者数は年々増加傾向にあります」
実際、医薬品医療機器総合機構(PMDA)によると、現在、肺障害や間質性肺炎を引き起こすとされる薬剤は300品目以上にのぼり、1400件以上もの症例が報告されている。また、2019年にPMDAによって公表された被疑薬の内訳は、多い順に抗がん剤、抗リウマチ薬、漢方薬、消炎鎮痛薬。全体の半数以上を占めるのが抗がん剤であるものの、漢方薬や消炎鎮痛薬といった身近な薬も挙がっているから驚きだ。
■慢性化して死亡するケースも
昭和大学病院内科学講座主任呼吸器・アレルギー内科学部門の相良博典教授が次のように指摘する。
「放置すると慢性化する危険性があり、最悪の場合、在宅での酸素療法になります。死亡例も発症全体の10%くらいとかなり多く、服用していた薬剤の種類や期間、量によって生命予後に差が出てきます」