「泣く」ことで得られる健康効果 「笑う門には福来たる」というが…
タマネギを切ったり、ゴミや煙が目に入ったり、強い光を見たときに分泌される反射性の涙は三叉神経と呼ばれる目や顔などにある神経や視神経への刺激を受けると、脳内の涙腺核を通して副交感神経を経て涙腺から涙が出ます。目の表面の傷を治すための物質が多く含まれています。
情動の涙は脳の中の前頭葉皮質が刺激されて出る涙です。このときコルチゾールといったストレス物質を低下させる作用があるとされています。つまり、感極まって流す涙にはストレスを解消する働きがあるというわけです。
泣くことはストレスによって生じる苦痛を和らげる「エンドルフィン」やそれと似た物質を増加させる一方で、人の攻撃性や怒りっぽさ、不安に関連するとされる体内の余分なマンガンを体外に排出することで気持ちを落ち着かせる効果もあるとされています。
新型コロナ禍で涙もろくなった、という人を聞きますが、知らず知らずのうちにストレスをため込み、涙で解消しているのかもしれません。
(弘邦医院・林雅之院長)