著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

後藤祐樹は「変わってあげたい」と…妻が子宮頚がん、夫も悩む子供と治療の問題

公開日: 更新日:

 子宮頚がんの発症のピークは30代後半。英語でマザーキラーと呼ばれるゆえんです。診断時の子宮頚がんの状態によっては、子供を望む夫婦は子供をあきらめたり、母の命を奪われたりするかもしれません。幼い子供を育てている真っただ中だと、ママの病気や不幸をどう伝えるのか。そんな不安もあります。

 まず幼い子供のフォローには、がんを正しく伝えるのがひとつ。小学生でもネットでがんを調べられる時代です。ウソは、子供を傷つけます。2つ目はがんが伝染する病気ではないこと。子供の社会では、伝染する→怖いという連想が働きやすく、これを断つことが、子供の友達との関係を保つうえでも大切。そして、がんの原因は、子供のせいではないこと。この3つを子供に分かる言葉で伝えるのです。

 治療は妊娠を希望する場合、円錐切除、子宮頚部のみを切除して子宮体部を温存する広汎子宮頚部摘出術などがありますが、ステージ1Bまで。早期発見が重要です。しかし、子宮頚がん検診を20歳から定期的に受けているのは3人に1人。受診をお勧めします。


 妊娠を希望しない場合は、放射線がベター。手術では、卵巣やリンパ節も一緒に切除するため、女性ホルモンが途絶え、更年期症状やリンパ浮腫が重く続きます。放射線ならありません。

 もし妊娠が難しいときは、特別養子縁組制度を使ってもよいと思います。実は私の母も養子でしたが、祖母は実の娘と同じように育てました。

 マザーキラーは、晩年のがんとは異なる問題を突きつけます。男性も他人事ではなく、家族力が問われるがんです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された