子宮頸がんの放射線治療は手術の先か後か 広島で後遺症を巡る裁判が
放射線治療を巡るトラブルが報じられました。広島の女性(70)が、呉医療センター・中国がんセンターで子宮頚がんを切除。術後に放射線治療を受けたところ、正常部位の小腸にも照射されたため、放射線性腸炎を起こし食事ができず、点滴での栄養補給を余儀なくされたといいます。
これに対して女性側は、正常な部位への放射線照射で小腸の機能を失ったことは、担当医の注意義務違反だとして、病院側に損害賠償約2850万円を求めて広島地裁に訴えたのです。病院側は患部のみへの照射は不可能で、事前に説明していたとして請求棄却を求めています。
この女性のケースはともかく、重要なので少し解説します。体の外から放射線をがんに照射すると、その周りの正常な臓器や消化管なども放射線のダメージを受ける恐れが。それで、大腸や小腸に炎症ができるのが放射線性腸炎です。
放射線性腸炎には、照射から3カ月以内に起こる早期障害と6カ月以降に発症する晩期障害があります。早期は腹痛や血便、下痢、嘔吐(おうと)など比較的軽い症状ですが、晩期には病変が腸粘膜から腸管に広がり、まれに腸閉塞や腸穿孔(せんこう)を起こすケースがあるのも事実です。