なかなか良くならないうつ病は「そううつ病」を疑え
■うつ病では見られない症状があるかどうか
双極性障害を疑うポイントは、過去にわずかな期間でもそう状態(=ハイの状態)がなかったか。普段よりも、「早口」「おしゃべり」「電話をかけまくる」「精力的に活動」「眠らなくても平気」「浪費」「服装や化粧が派手」「怒りっぽい」「自信過剰」「異性関係がだらしない」……。うつ病なら見られない。
「病気の性質上、最初から正しい診断に結びつかないかもしれません。しかし、もしご家族にうつ状態の方がいて、抗うつ薬で効果がなければ、詳しい精神科医に診てもらうのも一つの手です」
宗医師の印象に残っている20代の患者がいる。慢性のうつ状態に加え、摂食障害、アルコール・買い物・セックスの依存症、自傷癖、PTSDの症状があり、境界性パーソナリティー障害との診断だった。抗うつ薬を出すと、うつ状態で怒りっぽさが目立つ、そうとうつの混合状態を認めたため、もしや、と思い双極性障害の薬(気分安定薬)を処方したところ、すべての症状がきれいに消え、ほどなく就労に至った。