漢方薬を飲むタイミングが「食前」や「食間」なのはどうして?
漢方薬の添付文書には、「通常、成人1日○グラムを2~3回に分割し、食前(食事の30分前)又は食間(食事の2時間後)に経口投与する」と記載されていて、その通りに処方されている方が多いと思います。そこで、今回はなぜ漢方薬の飲み方は食前・食間なのかについて説明します。ただ、あくまで“おまけ”程度にご一読いただければ幸いです。
漢方薬以外の医薬品でも、生薬由来のものがあるということを以前お伝えしました。麻黄(まおう)の主成分であるエフェドリンなどが該当します。じつはエフェドリンに限らず、こういった医薬品の飲み方は食後であることがほとんどです。では、なぜ漢方薬になると食前や食間になるのか、不思議に思いますよね。先に答えを言ってしまうと、漢方薬の飲み方とされている食前・食間には明確な根拠がないそうです。
東洋医学である漢方薬の起源は中国です。昔、中国では漢方薬はお茶代わりに飲まれていました。お茶というと食事中にも飲んだりすると思われますが、ここで言うお茶は食事前に喉を潤したり、仕事の合間などにほっと一息つくためのお茶を意味しています。「ティータイム」のお茶と言うとイメージしやすいでしょうか。この習慣が現在になっても残っていて、そのために漢方薬の飲み方が食前や食間になっていると考えられます。つまり、漢方薬の飲み方にはあまり深い意味や明確な根拠はないということになります。