上岡龍太郎さんの訃報で改めて「がんで死にたい」と思い直した
それが今や全体で47.5%と当時の2倍以上。ステージ1に限れば85.6%です。上岡さんのように肺がんで10年生存するのは、決して珍しくはありません。
なぜか。男性の喫煙率の低下がひとつ。もうひとつは薬物治療の進歩で、特に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の貢献が大きい。
すべてのがんで、手術と放射線、薬物治療の位置づけがステージごとに決まっています。それが標準治療で、ある治療が効かなくなると、次の治療に移行します。この治療選択において、前述の長男のコメントに重要なことがありました。
「積極的な治療の術がなく本人も延命を求めていない」
この一言です。「積極的な治療の術がなく」は、薬物治療の選択肢がなくなったことを意味します。それで延命治療をしなかったようですが、それでも10カ月近く生存されました。
その間、積極的な延命治療はせずとも、痛みを取り除く緩和ケアはされたでしょう。そうすれば、痛みや苦痛から解放され、家族と会話することができる。10カ月近くあれば、お互いかなりのことを伝えられます。